物件管理の面白さ。火災時などの緊急対応について。

マンションコンシェルジュとして働き始めて、全体の流れや抑えておくべきポイントが徐々に掴めてきた頃、新しく不安が湧き上がってきました。

常駐の専門スタッフはおらず、防災センターの役割も担うことになっていたので、セキュリティ警報はもちろん消防関係の警報、さらには地震などが起こった場合の、消火活動やその補助、避難誘導などを考えたら、恐くて仕方がなくなってきたのでした。

スタッフの不注意で、誤って非常電話の受話器を取り、館内に避難警報が鳴り響いてしまったり、入居者さんが悪気なく消防用の排煙窓を開けてしまったり、ということが続き、その都度皆で慌てたので、消防関係の設備全般の知識を強化すべきだな、と思うようになりました。

年二回の消防点検で、消防設備の業者さんが来るので、上司に頼み、担当者に特別に時間を取ってもらうことにしました。

館内を全部歩いて、一つ一つの設備について、説明を受けることにしました。改めて聞いてみて、こんなにいろいろな設備が詰め込まれているのか…とビックリ。

建物によって設置されている機材やシステムが異なるため、どうりで業者さんの中でも、本当に詳しい人は限られるわけだ、と納得。この機会に、あらゆることを聞いておかねば!と気合を入れて臨みました。

感知器、スプリンクラー、防火シャッター、防火扉、消火栓、火災報知器に非常電話。それぞれがどういう条件で作動し、その際、館内や事務所でどういう反応があるか、また、平常に戻った後の装置の復旧方法についてなどを、確認していきました。

感知器にも、煙感知器と熱感知器があり、上階の、天井が高い居室では煙が感知する前に火災が広がらないよう、熱感知器も併用。独立型で、単独で警報が鳴るだけのタイプと、避難を容易にするため、付近の感知器に信号を送るタイプとがある。

防火戸は一部居室内にも設置されている。ロビーのスプリンクラーは、簡単に誤作動しないように、熱感知器と共に、炎感知器も設置されている。

駐車場は、油火災に対応する必要があるので、泡消火器が設置されている。エリアが色分けされていて、該当の色のレバーを引くと、特殊な泡が噴出される。

バルコニー端には、避難用の出口と梯子があり、下に一気に落ちないように、各階交互になるように、設置されている。

上階に上がりながら、メモを取り質問をし、を繰り返したんですが、屋上まで上がる頃には、詰め込み過ぎて集中力が持たなかったほどでした。

感知器に連動して防火戸が閉まるんですが、煙で囲まれ、焦って歩き進んだ先に、この防火戸に行く手を阻まれたら、パニックになるな、と思いました。

私が勤めていた物件の廊下に設置されていた防火戸は、延焼や煙を一時的に止めるために、感知器に連動して閉まるものの、避難する際は、くぐり戸を開けて逃げられるようになっていました。

でもこれ、恐怖に支配されている状態で、押して開ける、の文字を読む余裕があると思えない…と思いました。

また、非常階段への扉は二か所あり、片方は、火災断定となるまでは、開かない。こういうことを、予め知っておかないと、いざという時、大変なことになる、と思いました。

壮大なプロジェクトになるな、と思ったので、早速マニュアル作りに着手しました。

一つ一つの機器の写真を撮り、名前や注意事項をまとめ、一覧にしました。その中から、入居者さん向けに内容を抜粋し、日・英でお知らせを作り掲示。

さらに、入居時の説明に、避難経路や消火器の場所も、加えることを進言しました。

入居時は忙しいですし、一度伝えたところで覚えていられるか?は不透明なんですが…、説明の仕方によっては、いざという時に、そう言えばあの時説明があった…と、思い出していただけるんじゃないか?と思い、チェックリストに沿って流すように話すのでなく、印象的な説明を心がけました。

私達は日頃、忙しさにかまけてつい、他力本願で生きてしまいがちですが。管理側の目線で物事を考えた時、緊急時には、立て続けに想定外の状況になり、行うべきことも山積みとなることが、簡単に想像できまして。

例えば火災警報が鳴った時、火元を確認せずに、警報を鳴らしっ放しにはできない。驚いて、フロントへの問合せも入るでしょうが、インターフォンが鳴っていても、とにかくまず確認に向かわなければならない。

万が一本当の火災の場合、エレベータは使用できない。階段も、途中煙で進めなかったら?火災を見つけたら、初期消火もしなければならない。

消火不可能と判断した場合、早急に管理室から、避難警報を発令、消防署に連絡しなければならない。館内アナウンスもかけて、避難の促進も迫られると思います。

消防署に連絡したら、消防隊が使用できるよう、非常用エレベータを呼び戻し、消防隊に専用設備を案内するなど、やることが次々控えていまして。困っている人を助けたくても、なかなかできないという状況になるだろうなぁと。

この仕事を通して、日頃から、消防設備や避難経路について、意識を向けておくって大切だなぁ、と改めて感じたのでした。